- 独り言
やはり不合格でした
ネットワークスペシャリスト試験は、予想通り、午後Ⅰで不合格でした。
点数的に、空欄さえ埋めていればという思いはありますが、終わったことは仕方ありません。
ところで、情報処理技術者試験について、『意味がない』という意見をちょこちょこ耳にします。
確かに、試験はせいぜい筆記と論文のみなので、実践的な能力を十分に判定できないという事実はあると思います。
しかし、私は、現在の試験方式でも、意味は十分にあると考えています。
例えば、今回の『時間内に解答欄を埋めきれなかった』という私のミス。
これは、仕事の現場で言い換えると、『顧客からの質問に一定時間内に回答できなかった』という状況に置き換えられます。
実際の仕事の現場でも、時間というのは有限です。
何か不具合が起きて、顧客から質問のメールなどが飛んで来たら、所定の時間内に回答しなければなりません。
また、詳細は調査して連絡すると第一報を返しても、その調査にあまりにも時間がかかるようでは、信頼を失ってしまいます。
このように考えると、『所定の時間内で正答を導く』というのは、実務にも繋がってくる重要な能力です。
また、記述式問題になると、『○○文字以内で答えよ』という設問も出てきます。
これも、仕事の現場で言い換えると、『相手からの質問に、端的に要点だけを整理して回答する』という行為につながります。
エンジニアに限らず、技術者によくあるのが、要領を得ないダラダラと長い回答です。
質問した側からしたら、相手の長い回答を咀嚼して、時には『つまり、何?』と聞き直す羽目になります。
これでは、円滑なコミュニケーションをとることはできません。
そういう意味で、『○○文字以内で答えよ』という設問は、要点を整理する能力を鍛えるのに最適です。
さらに、午前問題などの単純な知識を問う問題にも、大きな意味があります。
最近は出題されなくなりましたが、以前は「共通フレーム」という概念がよく出題されていました。
「共通フレーム」とは、IPAが制作したソフトウェアに関するガイドラインで、『ITシステム開発の作業規定』とも呼ばれる内容が整理されています。
更新は2013年を最後に止まっているので、内容は少々古くなりましたが、その「目的」は、今でも私の心に深く刻みつけられています。
『日本において、ソフトウェア開発に関係する人々(利害関係者)が、「同じ言葉で話す」ことが出来るようにするため。』
(情報処理推進機構(IPA)「共通フレーム2013」第1部『1.共通フレームとは』)
この、『「同じ言葉で話す」ことが出来る』というのは、非常に重要です。
かつてのシステム開発の現場というのは、開発企業や対象の業界によって、呼び方が違ったり、同じ言葉でも意味が違うことが多々ありました。
その結果、開発者や発注元の担当者、経営者などの間で、意味が正しく伝わらず、円滑に話を進めることができないという問題が起きていました。
その中で制作されたのが、「共通フレーム」というガイドラインです。
現在では、『利害関係者が同じ言葉で話す』という目的は、ある程度達成されたと考えています。
それでも、新たにITの分野に足を踏み入れる人は、多少なりとも技術用語などについて、知識を仕入れる必要があります。
単純な知識問題は、そういった「同じ言葉で話す」ための訓練として、効果的であると思います。
と、こんな感じで、情報処理技術者試験を受けることには、実務での能力を鍛える効果が十分にあると、私は思っています。
もっとも、資格の名前が欲しいだけなら、転職のための履歴書に書いたり資格手当を貰う以外には、あまり意味はないでしょう。
(行政機関の公募案件だと、入札条件に指定されていることもありますが、多くのエンジニアは無縁です)
重要なのは、その試験を通じて、何を学び、何を経験し、何を間違えたかです。
今回の空欄ミスも、『もっとレスポンスの時間を考えろ』という戒めを、私に与えてくれました。
私はこれまで、『どんな仕事でも引き受けられるように』と色々な資格を勉強してきました。
ですが、それが仇となり、実際の業務でもレスポンスが遅くなったり、説明の要点が整理しきれなくなっているのかもしれません。
不合格という事実はとても悔しいですが、失敗ではなく教訓として、今後に活かしていきたいと思います。
それでは、春期試験はやたらと不合格になる、山本慎一郎でした。