- 独り言
システムエンジニアの価値とは
最近は、ノーコードツールやRPA(※)、そしてAIの進歩により、誰でも簡単にコンピュータを操れる世の中になってきました。
そうなると、『もう(開発の)システムエンジニアなんていらない』ということになるのでしょうか。
※RPA(Robotic Process Automation):機械的な作業を自動化する技術のこと。
結論から言うと、『まだそこまでいきそうにはない』というのが私の感想です。
理由としては、なんだかんだ言って、本職とそうでない人間との間には、まだまだ経験や知識などの差があるからです。
私は、プログラミングに初めて触れてから20余年、仕事としてシステムエンジニアを始めてから10年ちょっとが経ちます。
特に仕事としてエンジニアになってからは、ひたすらコンピュータのことを考えて生きてきました。
一方、一般の方は、リスキリングや転職などでプログラミングに触れたとしても、まだ数年程度だと思います。
ツールの使い方やプログラムの書き方は覚えたとしても、それだけで結構な労力を使ってしまい、他のことまで頭が回らないのではないかと思います。
ということは、システムエンジニアは違うのか?
人によって差はあると思いますが、私にとって、プログラミングというのは稟議書を書くのと同じようなものです。
一定のフォーマットはあったとしても、それを作る作業自体にあれこれ悩むことは多くありません。
そうなると、仕事のメインは別の部分に移っていきます。
- 『この設計は本当に安全か? 検討漏れしているリスクはないか?』
- 『このログは、問題発生時や監査時に必要十分な情報を記録しているか?』
- 『元からある部分だが、ここの処理はこういうケースでバグが起きるのでは?』
- 『このシステムは、クライアントさんにとって価値のあるものになっているか?』
要するに、プログラミングする前の段階、設計や要件定義について、あれこれと考えを巡らせるようになります。
実際、今のお仕事でも、受け取った既存のプログラムに、打ち合わせで出てこなかった機能があったり、現実に起こりうるバグが見つかったりして、クライアントさんと追加の打ち合わせをしています。
このような、プログラムに対する「視点」という部分では、まだまだ経験や知識の差があると感じています。
もちろん、近年のプログラミング教育を受けた子どもたちが大人になってくれば変わると思いますが、それはもう少し先のお話だと思います。
一方、AIの進歩も見過ごせません。
クライアントさんの要望は、ある程度類型的に整理できると思うので、AIによる機械学習が適用できます。
そうなってくると、いずれは要件整理や対応可否の交渉なども、AIで事足りるようになると思います。
むしろ、条件を変えた場合のコストの差なども、即座にその場で提示できるでしょうから、人間よりよっぽど有能です。
ただ、こちらもやはり、まだまだ先のお話だと思います。
結局のところ、今の時代の(開発の)システムエンジニアの「価値」とは、次のようなものになると思います。
- 経験と知識に裏付けされ、安全性や保守性などまで考え抜かれた、高度な設計能力
- クライアントさんもうまく表現できていない/気づいていない要望を推察して提案できる、優れた観察力/理解力/コミュニケーション能力
- 利用者の立場からシステムを見ることができ、機能やUI(ユーザインタフェース。画面の操作方法などのこと)を検討できる、豊かな想像力/パターンの知識量
- コンピュータに固執せず、人間側の作業変更も含めて、問題の解決に最も適した方法を提案できる、理路整然とした思考力/分析力
運用側の業務経験は少ないので何ともいえませんが、少なくとも開発側では、このような能力を持つ人材が力を発揮しているように思います。
そんなわけで、今日も今日とて、開発作業に勤しんでいます。
一時期、セキュリティの設計で数日間悩みましたが、春の情報処理技術者試験同様、『知っているからこそ悩む』状態でした。
逆に言うと、『知らなければ見逃していた』可能性もあるわけで、そういう意味では、やはり知っておいてよかったと思います。
また、前回開発したモノに関して、クライアントさんの社内システムエンジニアの方(元先輩ですが)にも高評価をいただきました。
同案件はDXに関係するものなので、担当部門だけでなく、回りまわって同社全体に恩恵がなくては意味がありません。
そういう意味で、別部門の方からも評価いただけたのは、とても嬉しく思いました。
そして、そういうことがあると、今回もビシッと決めないとな、という気になります。
山本君に依頼してよかったと思っていただけるように。
また次も、山本君に頼もうと思っていただけるように。
そしていつか、やっぱり山本君だなと思っていただけるように。
精進していきたいと思います。
それでは、製品ではなく価値を提供したい、山本慎一郎でした。