- 資料
エンベデッドシステムスペシャリスト 午後Ⅱ 論文骨子
はじめに
エンベデッドシステムスペシャリスト試験では、2023年度の秋期試験より、午後Ⅱが論述式になりました。
この資料では、その初回の論述試験で実際に私が書いた「論述メモ」をご紹介します。
何かのご参考になれば幸いです。
なお、試験問題に関する権利は、独立行政法人情報処理推進機構が有しております。
また、内容の性質上、当資料の一部、または、全部において、転載等を禁止とさせていただきます。
問題文のメモ
記述式試験でもそうですが、論述式試験でも、問題文を的確に読み解くために、問題文にメモを書き込みます。
下記は、実際に私が、試験中に書き込んだメモです。
論述式では、内容は自分で書くことになるので、マークするのは次のようなポイントです。
- 論文の主旨となる記述
- 列挙されている部分
- セオリーから外れる内容の部分
- そのほか、重要だと思ったポイント
今回の問題文において、私が一番気を付けなければならないと考えたのは、『自社の優位性を確保すること』という部分です。
半導体の不足や新規参入の増加など、経営に打撃を与える要素が列挙されていますが、なぜそれらへの対策が必要かというと、結局は『自社の優位性を確保すること』によって、市場で生き残り成長していくためです。
ユーザの視点に立ってみれば、同品質同価格帯の商品が供給されるなら、別に特定の企業の製品である必要は薄いわけですから、ストラテジストとして『自社を生存させる』ためには、自社が何らかの優位性を持たなければならないわけです。
このことを常に念頭におき、脅威の分析や対策の立案を行っていくことが求められています。
ちなみに、設問の画像はこちらです。
さすがに内容変更の初回のせいか、設問自体は非常にオーソドックスで、丁寧に説明されていました。
ですので、例えばこの問1では、ITストラテジストを取れるレベルの人にとっては、問題としては簡単な部類だと思います。
ただ、気を付けなくてはいけないのは、この試験は「エンベデッドシステムスペシャリスト」の試験だということです。
つまり、多少なりとも『組込みシステムだからこその特徴』なども織り込んでおかないと、評価が下がる可能性があるということです。
問題文の例示でも、『半導体電子部品不足などが納期・供給に影響を及ぼしている』と書かれており、ハード的な側面も見られます。
例示はあくまでも例なので、従う必然性はないのですが、論述の方向性としてそういうものが求められている可能性は、頭の片隅に置いておきたいです。
論文の骨子
で、今回の本題。論文の骨子です。
まずは、実際に試験中に書いたメモ(問題冊子の余白は自由に使用できます)がこちらです。
想像を絶する字の汚さ!
本人以外でコレを読める人がいたら、スゴイと思います。
むしろ本人ですら、今となっては一部読めませんでした。
というわけで、改めてデジタルデータに書き起こしたのがこちらです。
こちらなら、何とか読めるかと思います。
(??は、もはや本人でも解読できなかった部分です)
細かい説明は割愛しますが、横方向に設問で求められている論述内容を並べ、それに対応するポイントを箇条書きなどで整理しています。
今回は、設問アで3つの脅威を求められたため3つ挙げてますが、設問イで論述するのは、私のような書きたがりの人の場合、大体2つが限界です。
実際、設問イでも3つのうち特に重要と考えた2つについて述べよと書かれていたので、「新規参入」と「売り手の交渉力」を挙げることにしました。
その上で、2つの重要な脅威について、設問に対応する内容を整理していきます。
設問イは論述の核となる部分なので、ここはしっかりと推敲しながら、とはいえ急いでまとめます。
設問ウは、対応策などの評価だったので、これはまあ書きなれた文章なので問題ありません。
どこが良くて、どこはダメだったのかというのを、ポイントで整理しておきます。
逆に、このタイプの設問ウを書き慣れていない人は、もっと小論文を書く練習をした方がよいと思います。
『小論文の練習なんて、小細工をしているみたいで嫌だ』という方もいらっしゃるかもしれません。
その考え自体には私も賛成するところですが、実際のところ、小論文を書くという行為は、相手にプレゼンをするのと同じことだと感じています。
相手の求める答えに対して、シンプルかつ的確に回答しないと、プレゼンは成功しません。
相手の気を惹きたいなら、ただ材料を並べるだけでなく、それを美味しそうな料理に調理してあげる必要があります。
ですが、最初からおいしい料理が作れる人は多くありません。
なので、練習が必要になります。
それと同じで『相手にとって説得力のある文章を、限られた時間で組み立てて、知識人の相手を説得すること』というのが、論述式試験の正体です。
そう考えると、何の練習もなく挑むことが、どれほどの「冒険」であるか分かるかと思います。
少なくとも私なら、ある程度の段階を踏んでから挑戦したいと考えます。
話を戻すと、このようにして論文の骨子を書き上げます。
時間配分としては、遅くとも、試験開始から20~30分が目安です。
それ以上の時間をかけると、論文本体を書く時間が足りなくなります。
ちなみに、論文本体の配分は、20-40-30か、20-30-40が基本です。
ただ、骨子が30分ペースだとこれでは間に合いませんので、その場合は設問イとウを5分ずつ削ります。
(この試験の時は、設問ウが簡単な設問だったので、設問ウのみ10分削りました)
おわりに
以上が、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の午後Ⅱの論文骨子となります。
小論文の書き方は人それぞれかと思いますが、私のようなアレもコレもと書きたがるタイプの方は、先に書くことを整理しておくと時間内に書ききることができます。
加えて、そういうタイプの人は結論がブレやすいので、それを防ぐのにも効果的です。
もし小論文の書き方でお悩みの方がいたら、ぜひお試しください。